資本政策

投資元VCの選び方、投資先企業の選び方

前回は、VCによる資金調達について、その特徴と注意点をまとめました。資金調達を行う上で、その判断の一助になれば幸いです。

ところで、日本にはどれだけのVCがあるかご存知でしょうか。2018年9月13日現在で、日本ベンチャーキャピタル協会(https://jvca.jp/)の会員となっているVCは76社あります。非会員のVCや、所謂VCとは少し違いますが、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)まで含めますと、100社は優に超えます。

というわけで、今回は、VCを用いた資金調達を実施する際に、どのようにして投資元VCを選べば良いのか、についてまとめたいと思います。さらに、VCの視点、どのようにして投資先企業の選別を行っているのかにも触れたいと思います。

1.投資を受けるべきVCの選び方

VCを選ぶうえで注目したいのは、投資条件やVCが組成するファンドの特徴はもちろんですが、投資ラウンド(事業レベルのことです:シード、アーリー、ステージA、など)と(担当の)キャピタリストの2点だと思われます。

VCは投資の対象とする企業の投資ラウンドを決めていることが多いです。自社の投資ラウンドが、VCの対象としている投資ラウンドと一致していない場合は、どれだけいい事業を行っていても投資を行わないことがありますので、投資ラウンドの確認は必須です。

また、VCからの投資を受けると、一般的にはキャピタリストという担当者がつき、このキャピタリストは会社の経営に直接関わることにもなります。そのため、相性の悪いキャピタリストが担当になってしまうと、いくら資金調達ができたとしても、その後の経営には悪影響でしょう。特に、シード期・アーリー期の企業の場合、VCとの付き合いも長期間に及ぶことが予想されます。キャピタリストとの相性も調達先のVCを決める上では重要な要素といえるでしょう。

これら2点を確認しつつ、Exitの時期や支援の方法(hands-onなのか等)といったファンドの方針が、会社の(経営)方針と合うものを選びましょう。

VCの見つけ方

  • 直接問い合わせてみる
  • 紹介してもらう

    先ほどの投資ラウンドの件を踏まえ、自社と同じ投資ラウンドの企業でVCからの資金調達を行っている会社に、VCを紹介してもらうというのは、有効な手段ではないかと思います。

  • コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)

    特定の事業領域に必要なリソースを利用したいという意思があるのであれば、その事業領域で成功している企業のCVCを探してみてもいいでしょう。

2.VCの投資先の選び方

さて、投資する側のVCは、投資先をどのように選んでいるのでしょうか。

実は、キャピタリストによって判断基準はさまざまで、例えば、企業の事業内容やチームを主軸に投資するか否かを判断するVCもある一方で、具体的な事業計画やそれに伴う時価総額等の収益性や財務面を主軸として判断するVCもあります。そこで、ここでは、キャピタリストが企業分析のなかで見ることが多いポイントを挙げたいと思います。

(1)経営陣
特にシード期・アーリー期の企業では、どのようなバックグラウンドをもったチームであるか、経営陣がどれだけその事業にコミットしているかは、重要なポイントでしょう。当然、社長ただ一人が頑張っているだけでは頭打ちになってしまいます。
また、持ち株比率など、意思決定が安定しているかも重要でしょう。例えば、創業者株主全員の持ち株比率が均等であったりすると、いざという時にデッドロックになってしまう可能性があります。この点については、創業者間契約を結んで整理しておくことも有効です。
(2)マーケット
VCがキャピタルゲインを目的とする以上、対象としているマーケットの大きさやその成長性はもちろん、そのマーケットにおいて競合関係がどうなっているのかについても、注目しているようです。なお、場合によっては、競合関係にある複数企業に同時に出資して、VCとしてリスクをコントロールすることも考えられます。
(3)ニーズ
特にシード期・アーリー期においては、そもそも、本当にその事業にニーズがあるのか、どのくらいのニーズが見込めるのかという点は、投資する上で重要なポイントでしょう。しかし、この点については、上記2点とは違い、定量的に測りがたい側面があります。経営者がいかに説得力をもって成長のストーリーを説明できるかが鍵となるでしょう。

本当にVCからの投資を受けるべきか。

そもそも、VCからの投資を受けるべきか否かは、「ゆくゆくはIPOやM&Aを狙っていて、かつ、短期的な成長の見込める事業であるか」が、判断のポイントになるでしょう。

そして、「(ゆっくりでいいから、)少しずつ確実に成長したい」という方針の企業であれば、多数の株主とのコミュニケーションコストが負担にもなりますし、ファンドに満期が設定(詳細は、前回の+αをご参照ください)されていることによる制約も大きいですので、VCからの資金調達は、資金調達の手段として最適であるとは言い難いように思います。その場合は、事業の利益から再投資を行うことや、銀行等からの融資を検討される方がよさそうです。

国内VCの種類

次回は、VCとの投資契約上の注意点についてまとめたいと思います。
(10月17日(水)配信予定)

文責

お問い合せ
Contact

顧問弁護士・企業法務に関する無料法律相談のご予約はこちら

お問合せはこちら tel:0120-525-953

顧問弁護士・企業法務に関する
無料法律相談のご予約はこちら