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電子契約のメリット・デメリット

電子契約のメリット・デメリット

新型コロナウイルスが再び勢いを増してきている中、脱ハンコの動きはさらに広がっていきそうです。その中で特に注目度が高まったのが、契約手続きをオンラインでできる電子契約サービスではないでしょうか。

電子契約とは?

電子契約は、従来紙によって作られていた契約書を電子的に作成する契約方法です。紙で契約書を作成するのに比べて、製本、押印、郵送等の手間がなくなり、離れた場所にいても容易に契約手続きを完了できるなどのメリットがあります。
ちなみに、電子契約には、電子署名を誰が行うかによって、「当事者署名型」と「事業者(立会人)署名型」と大きく2つの種類に分かれます(そもそも電子署名を使用しない電子契約もありますがここでは省略します)。
「当事者署名型」というのは、その名のとおり契約をする本人たちが電子署名を行うものです。ただ、電子署名を行うには、あらかじめ認証局に登録しておく必要があるなど手間がかかります。「事業者(立会人)署名型」というのは、電子契約サービスの提供事業者が、利用者の指示に基づいて電子署名を付すものです。利便性が高いため、今普及している多くはこの「事業者(立会人)署名型」です。

電子契約には法的リスクがある?

令和2年5月28日、クラウド上の契約に法的リスクがあるとのタイトルで電子契約に関する特集記事が掲載・配信されました 。
電子署名については、電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律。以下同じ。)が、紙の契約書に押印したのと同じ法的効力を持つ要件について規定しているのですが(電子署名法3条)、この規定が、現在普及している「事業者(立会人)署名型」の電子契約には適用されない可能性があるという内容でした。

契約自体の有効性が否定されるわけではないのですが、電子契約におけるリスクとして捉えられ、電子契約に対するリスクに焦点が当たってしまうという影響があったように思います。
実際、「契約が有効でなくなる可能性があるというしやはり不安だ」という方がちらほらいらっしゃいました。その後、政府見解が公開され、「事業者(立会人)署名型」でも、一定の要件のもと、電子署名法3条が適用されることが明確にされたのですが、この記事等の印象から、不安がぬぐえないかたもいると思います。
そこで、電子契約は本当に大丈夫なのか、紙の契約書と比べてどんなメリット・デメリットがあるのか、簡単に見てみたいと思います。

電子契約の有効性

そもそも契約は、書面が要求される一部の契約(定期建物賃貸借契約など)を除き、口頭でもLINEのやり取りでも、有効に成立します(民法522条2項)。ただ、特に口頭なんかだと、「言った言わない」の争いになりがちです。そこで、争いになったときのために、「誰と誰が、どのような内容の契約をしたのか」を証拠として残しておく必要があります。この証拠にあたるのが、契約書です。
ですから、電子契約も契約としては当然に有効です。問題となるのは、契約の有効性ではなく、後日争いになったとき、はたして電子契約が、「誰と誰が、どのような内容の契約をしたのか」を立証する有効な証拠となるのか、という点です。ざっくばらんにいえば、「パソコンの画面やプリントアウトされた紙ぺらを見せられたって、署名も押印もないそんなものは信用ならないよ!」と言われないか、という問題です。
押印された紙の契約書については、いわゆる「二段の推定」が認められているので、「誰と誰が、どのような内容の契約をしたのか」を立証する有効な証拠になりやすいといえます。すなわち、作成者(契約当事者)の印鑑による押印があれば、まず当該押印は作成者の意思に基づく押印であると事実上推定されます(一段目の推定)。そして作成者の意思に基づく押印があれば、当該文書全体が作成者の意思に基づいて作成されたものであると推定されます(民事訴訟法228条4項)。したがって、契約書の押印が契約当事者の印鑑によるものであることさえわかれば、特段の反証のない限り、契約書全体が契約当事者によって作られたものであると認められるのです。
電子契約については、電子署名法3条が、作成者の意思に基づく電子署名(同法3条に定めるもの)が行われたときは、当該作成者が、その電子契約文書を作成したということが推定されます。先の記事は、「事業者(立会人)署名型」の電子契約の場合、電子署名法3条の要件を満たさない可能性があることを指摘したものでした。しかし、これについては、「事業者(立会人)署名型」でも、一定の要件のもと、電子署名法3条の要件を満たすという政府見解が公開されました 。
したがって、電子契約が後日の紛争に備えた有効な証拠となるのかという点に対する不安はほとんど解消されたといえます。

電子契約のメリット・デメリット

⑴ では、電子契約にはどのようなメリットがあるでしょうか。一般に、次のようなメリットがあると言われます。

① 費用の削減につながる

紙代、郵送代等の費用がかからないほか、電子契約なら、印紙税も課税されません。

② 作業効率が向上する

紙の契約書作成の場合、パソコンで起案した契約書をプリントアウトし、製本し、押印をして、郵送するという手順を踏みますが、電子契約であればプリントアウトや郵送は不要です。しかも、遠隔地同士でも、インターネットですから、ほぼ一瞬で契約書の授受ができます。

③ 省スペース

紙一枚一枚は薄いはずなのですが、書類というのは、なぜかすぐにかさばってきますね。契約書類の保管のために使っているたくさんのスペースをなくせれば、もっと広々とオフィスを使えるかもしれませんし、賃料も浮くかもしれません。

④ コンプライアンスの強化につながる

契約書類の紛失、持ち出しのリスクが減ります。また、電子データベースに契約文書が保管されていれば、例えば不正調査の際に対象部署が、問題の契約書類をどこかに隠すということはできなくなりますので、コンプライアンスの向上につながると言えます。

⑵ 他方、デメリットとして一番大きなものは、電子契約導入の労力が大きいという点が挙げられます。システムの導入や管理体制の整備はもちろん、社内での調整、取引先への説明等の手間がかかります。電子契約は、まだまだ一般的とは言えませんから、取引先によっては電子契約によることを同意してくれないおそれもあります。その場合、電子契約と紙の契約書が混在することになります。

いかがでしたでしょうか。電子契約については関連書籍がたくさん出ていますから、ぜひ目を通してみてください。そして、電子契約の導入を検討する際には、お気軽にご相談ください。

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